交渉による債権回収

step 1 債権の管理をする

債権の管理をする

 常に入金状況を確認し、支払の遅延を発見したら、即座に相手方に支払いを催促します。この場合、支払期日から時間が空けばあくほど、債権の回収は難しくなります。従って、カレンダーなどに、支払期日をしっかりと記入し、債権を管理し、支払遅延に対し即座に入金を促せるような体制づくりが必要です。

 

step 2 支払いの催促をする

 支払の催促の方法としては、入金が数日おくれている段階であれば、電話での催促でも、相手方企業の担当者が顔を合わせた際に口頭で催促する事でも足ります。経理から、再度請求書を発送してもよいでしょう。

(なお、その際、相手方の正確な連絡先が非常に重要になってきますので、あらかじめ、契約時に相手方の住所・電話番号・職場の住所・連絡先・携帯電話番号を 教えてもらっておく(契約書、申込書などに記載してもらう)ことが大事です。)

 かかる請求でも効果が見られない場合には、顧問弁護士に相談し、内容証明を 発送する手続を考えてください。

 

① 電話・口頭での催促

   ↓↑(何度か繰り返す)

② 請求書の再度の発送

   ↓ 

③ 内容証明発送(顧問弁護士へ相談)

 

  相手方が経済状況が悪化している場合などでも、一部の企業には弁済をしていることがほとんどですので、相手方の支払いが遅れた場合には、粘り強く交渉し、繰り返し請求する事が肝心です。

 

step 3 督促の際の注意点

 貸金業規制法21条には、早朝や深夜の取立行為や、勤務先などについて正当な理由がないのに督促を行う行為などについて規制がされていますが、貸金業者でない一般企業については当てはまりません。

 

貸金業規制法 第21条 (取立て行為の規制)

貸金業者又は貸金業者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たって、人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない。

 

 ただし、乱暴な言動や大きな物音を立てたり、相手に支払を強要する行為については、刑事上の脅迫罪・恐喝罪が成立する可能性もありますので十分に注意してください

 

刑法 第222条  (脅迫)

1 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

 

刑法 第249条 (恐喝)

人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する (財物恐喝罪)
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする(利益恐喝罪、二項恐喝罪)

 

step 4 支払の合意が出来たら契約書を作成する。

 支払の合意まで取り付けられたら、支払を約束する契約書を作成します。複数の弁済を相手方が支払ってないような場合で、これらについて支払を約束してもらったら、これを一つにまとめて支払うような契約(準消費貸借契約)の契約書を作成します。

 債権の一本化により時効の起算点を一本化でき時効の管理がやりやすくなるほか、残債権の額や請求など債権そのものの管理がしやすくなります。

 相手方がいわゆる給与をもらっている会社員などの場合は、定期的に給与が入ることから、一括払いにこだわらず、分割払いに応じることで、かえって回収の確立は高まります。

 しかし、相手方が経済状況が悪化した企業の場合は、なるべく早く債権を回収しないと資金繰りが悪化してしまうため、なるべく短期の回収を目指し、「相手方の在庫や物品などから支払い受ける」という方法も検討してください。

 

step 5 公正証書を作成する

 支払合意ができた場合にこれを契約書にしてもらうだけではなく、出来たら公正証書を作成します。相手方に身分証明書や実印をもって公証役場に来てもらう必要があるので、ややハードルが高いですが、後々裁判をする手間を考えると是非とも公正証書は作りたいところです。これは、分割払いにしても、一括払いにしても同じです。

 公正証書にするメリットとしては、裁判によらずとも強制的に相手方の財産を差し押さえられるという点です。通常、契約書を作っただけでは、その内容をもとに裁判をして判決をもらい債務名義を得て初めて強制執行の手続が利用できますが、公正証書を作成しておけば、これを使って強制執行ができます。

 そして、例えば相手の銀行口座が分かっている場合は口座から、職場が分かっている場合は給与を差押えて、そこから弁済を受ける事ができます。

Last Updated on 2023年7月13日 by roudou-okinawa

この記事の執筆者
弁護士法人ニライ総合法律事務所

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