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「相殺(そうさい)」による回収

債権を確実に回収するために、債権者としては、相手方に対し、あらかじめ同種の債務を負っておき、いざという時に、相手方への請求額と同じだけ自分の債務を差引するという「相殺」(そうさい)の方法があります。よく「そうさつ」と間違って読まれる場合がありますが、正確には「そうさい」です。

相殺の要件

  ①    対立する同種の債権

   債権回収において回収したい債権は通常は「お金の支払い」つまり「金銭債権」ですから、相手に対する債権もお金の支払いであれば同種になります。例えば、請負代金と、売買代金などでも、金銭債権であり「同種」であり、相殺可能です。

 

   自働債権(相殺しようとする側が債権者となっている債権)の弁済       期の到来

    自分が払わなければなければいけない方の債権(受働債権)の弁済期     がまだ来ていなくても、先に払ってしまうことは問題がないので(期限     の利益の放棄・民法1362項)、債権を消滅させる効果を持つ相殺も       可能です。

 

 

相殺の方法

相殺するとの意思表示または当事者双方の合意が必要になります。

相手方に通知を送って意思表示します。口頭で告げるだけですと、言った言わないの話になりますので、のちに紛争になった場合に備えて内容証明で証拠として残しておくことが望ましいです。相殺は一方的意思表示で足りますが、相手方と話し合うことができる場合には、合意書を作って相殺することもできます。

相殺の注意事項

①債務者が破産手続、民事再生手続に入った場合

相手方が破産申し立てをしている場合には、債務者または、申立期間であれば破産申立の代理人に対し相殺の意思表示をしますが、破産手続開始決定後は破産管財人に対し相殺の意思表示をします。また、破産管財人から相殺するか催告された場合に(破産法73条)、これを無視してしまうと、催告期間後は相殺できなくなってしまいます(破産法732項)。また債務者が民事再生手続を申し立てている場合には、債権届出期間内に相殺の意思表示をしなければ、相殺できなくなってしまう(民事再生法92条)ため、この点、注意が必要です。

 

②相殺できない債権

 現行民法509条「債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。」としており、現行民法では、不法行為により損害を与えた側(賠償責任を負う側)がこれを受働債権(払うべき債権)として、相殺をすることはできないことになっています。

 なお、民法改正により、平成32(2020)41日以降、この条文は適用範囲が若干変わります。すなわち不法行為による損害賠償の場合でも、悪意で加えた損害賠償に限定される事(交通事故のような同時発生的な損害賠償の場合は除かれることが明確にされた)と同時に、不法行為ではない損害賠償(安全配慮義務違反など債務不履行の損害賠償の類型)についても、生命、身体、の侵害に関する損害賠償については、受働債権として相殺することはできないと明文化されました。

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